Designing the Studio Pad

大型の最新作、Studio Pad。収納方法のブレイクスルーから全長90cm超のミニマルスタンドを如何に成立させるかに至るまで、私たちはどのように考えてこの製品を生み出したのか?舞台裏をどうぞお楽しみください。

Setting the Stage

物語は2015年に端を発します。ウールのDesk Padの狙いは3つ。デスク天板を優しく保護すること。エリアラグのように作業空間をゾーニングすること。そして、必要に応じて滑らせてレイアウトを調整できること。鍵は素材でした。私たちは、その後の多くのGrovemade製品で採用することになる純度100%のメリノウールフェルトに出会ったのです。

そして2018年。2014年からの初代デスクコレクションの一部であるMouse Padのリデザインに着手。よりモダンにアップデートさせ、同時に製造性(作りやすさと再現性)も高めたいと考えました。


SEAN KELLY (リードデザイナー):私たちは設計から製造まですべて自分たちでこなします。その行き来で学ぶことは非常に多い。初代マウスパッドは、さらに良くできる部分が明確化してきていた。そこでアルミのフル幅ベースという新しいアプローチに挑戦することにしました。

新しいMouse Padはヒット商品です。私たち自身、製造プロセスも仕上がりも大変気に入っています。そして思ったのです。もっと大きくしたらどうなる?素材の組み合わせや曲げ工法は応用できるのでは?――新たなデザインの種がまかれた瞬間でした。
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Mouse Padにおけるレイヤー構造へのアップデート

Consider the River

モニターとキーボードの間に細長い帯状のスペースがあります。デスクの上では間違いなく一等地、しかし気づけばモノが散乱しがち。私たちはここを“River(リバー)”と名付け、もっと意図的に活用する製品を構想し始めました。
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2021年にNote Taking Kitを設計したとき、Riverの扉が開きます。Display Railはメモ取りソリューションの一部としてデザインされましたが、実は“裏メニュー”があったのです。拾ったモノ、写真、ステッカー――つまり、心を掴んでインスピレーションをくれるものを並べるのに最適でした。
The Walnut Display Rail propping up an iPhone and notes, and acting as a home for an AirPods case.
メモを超えた使い道の発見には心が躍りました。Mouse Padの剛性あるアルミベース、Display Railで得た気づき、そしてRiverの最適化という目的意識。これらの魅力的な要素に後押しされて製品開発をスタート。しかし大きな壁がありました。これはきっと巨大なものになる。だから豊富で柔軟な機能を持たせたい。しかしミニマリズムの精神は譲れない。――どうやって実現しようか?

A Stand That Doesn't Look Like It

私たちはスタンドを設計する際、それ単体だけでも美しく佇まうことを目指します。Studio Padはここが難しい。なぜならiPad・iPhone・メモ用紙・財布など、様々な機器を受け止める必要があるから。しかもこれらは使用頻度が高い。頻繁に手に取られたかと思うと、すぐに置かれる。つまり使用・立てかけ・収納を柔軟に切り替えられる必要があったのです。


KEN TOMITA(共同創業者):Studio Padでは“さりげないスタンド”の設計がいつもより難しかった。あらゆる物の出入りを高頻度で受け止める必要があるからです。設置面積が大きい分、ラインと素材は極力ミニマルに留めたい。繊細なバランス感覚が求められました。

確かな機能性を確保しつつ、大きなフットプリントで、さまざまな物を、さまざまな時間だけ支えられる何か——そんなスタンドにするため、細部までデザインを詰めていきました。

Materials and Bends

先に触れたDisplay RailとMouse Padは、金属の曲げとラミレート(積層貼り合わせ)加工で機能を生み出しています。Display Railは緩やかなカーブで、置いた物が見やすい角度・高さをつくる。Mouse Padはアルミがスッと立ち上がり、ペントレイの厚みを自然に受け止める。

ただし金属は“スタンドらしさ”を強調——つまり、何も載っていない時ほどスタンドに見え過ぎます。巨大なStudio Padではそれは避けたい。あらゆる曲げを検討した結果、最終的に直角90°曲げを採用しました。スタンドとしては異例の選択です。


KEN TOMITA: 視覚的にシンプルながらも柔軟に使えるスタンドにするため、ウェッジ(くさび形)を使うことにしました。

ウェッジの要素は三つです。背止め(バックストップ)の高さ、木製トラフの高さ、そしてこれらの距離。私たちは背止めを低く抑えることにこだわりました。iPadやiPhone、カードやメモ用紙を安定して支えつつ、視覚的には控えめに——その“ちょうどよさ”を求めて試作を重ねました。やがて基本型が定まり、さらなる機能の検討に入っていきます。

The Hard Thing about Simplicity

木製レール(トラフ)は他に何ができるだろう?目的は収納と整理整頓です。ポケットをCNCで彫り込むべき?特定の機器のための専用スペースを設ける?あるいはあえて汎用のままにしておく?
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KEN TOMITA:しばらくはCNCでしか作れないものを盛り込みたいと考えていました。技術的に難しいことにあえて挑戦すべきとよく考えるんです。あるいは特定機器のための“超定寸ポケット”を作る手もあった。非常に写真映えします。でも私たちは全てを考慮し尽くした上で、結局は用途を限定しない汎用性の確保へ傾くことが多い。

コンテナ(容れ物)は領域と縁を定義します。空間を強制的に区切ることで物を保持する能力を持つわけです。しかし無理矢理別のものを入れようとすると、途端に不格好にもなる――野球ボールを筆箱に押し込むように。

全てを無理なく受け止めたい。ただコンテナを大きくだけでは中身とのスケールが合わない。私たちが目指したのは、使い方を促し、様々な機器を支えるのに“必要十分な”だけのコンテナでした。
結論として、木製トラフに“一筆書きのカーブ(連続スウィープ)”を与えることにしました。これはただのポケットにはない柔軟さと力を生み出します。野球ボールも鉛筆も自然に受け止める。単一で無限のポケットは品のある操作感をもたらします。手前へ/奥へそっと押すと、緩やかな曲面が指先で位置を決める手応えをもたらす。端から滑らせれば川(River)のように流れます。

No restrictions, just suggestions.

トラフを引き立てるべく、積層(スタックアップ)構造のディテールを一段深め、配線用アンダーパスの可能性に辿り着きました。


SEAN KELLY:橋(ブリッジ)の発想です。つまり素材を重ねて空間をつくる。配線ケーブルにはその“地下トンネル”をくぐってもらえば良いのです。

Detail of keyboard charging cable running through channel under the walnut tray.

It's So Heavy

柔軟で無限に使えるトラフ、ミニマルながら効果的なレール、配線用のアンダーパス——これらをひとつに束ねているのは重さです。重量は約2.3kg。容易には動かないことが効いてきます。ユーザーはそれぞれで、Desk Padをスルスルと動かしたい人もいれば、所定の位置を守り抜きたい人もいます。固定方法は磁石を使う、接着する、あるいは素材の質量を活かすなど、様々な方法があり得ます。

私たちについていえば、重いものが大好きです。素直で気持ちよく、しかも効果的だから。たとえば片手操作を可能にする約1.36kgのMagSafe Stand。あるいはノートPCを持ち上げても微動だにしない14ゲージの分厚いステンレスで作ったMacBook Dock。素材を軽いものに置き換えたらどちらの製品も成立しないのです。Studio Padも同じ。この重さ(とサイズ)が全体の性能を引き出す鍵となっています。


KEN TOMITA:サイズと重さの利点は他にもあります。背止め(バックストップ)を極小にできたり、重いものを載せても転ばなかったり。製品自体が十分な質量を持っているからです。


SEAN KELLY:重力という普遍の法則を味方につけることにしました。

つまるところ、重さ・サイズ・背止め・トレイ——それぞれの役割が上手く噛み合ってはじめてStudio Padは完成するのです。

A Product That Invents More Uses

私たちはStudio Padをさまざまな用途、そして変化に耐えうる製品として設計しました。拠り所にしたのは10数年におよぶワークスペースとユーザーの観察です。そのため設計が一段落した後、新たな使い方が見つかっても不思議ではありませんでした。Kenはデザインスペースにサテライトデスク(サブの作業台)としてGrovemade Deskを置いています。あるときEコマース責任者のNickが、私たちにとって型破り(かつとてもシンプル)なデスクセットアップに気付いたのです。——Studio Padとウルトラワイドモニター、そしてモニターアームのみというミニマルな構成。そこにはDesk Shelfも他のStandもありませんでした。


KEN TOMITA:ミドルユーザーの存在にワクワクしました。Desk Padだけでは足りない、でもDesk Shelfでは持て余してしまう。そんな人たちにはStudio Padがうってつけです。

Studio Padは、今までニーズに応えきれていなかったユーザーたちに最適な製品です。機器や道具はそれなりにあるものの、Desk Shelfを使うほどではない。ワークフローはミニマルなものの、もう少し機能が欲しい。Studio Padがあなたのアイテムを丁寧に受け止め、課題を上手く解決します。
Dark wool felt desk pad with built in walnut tray on blue background with built in stand for iPad.

Studio Padがあなたに、より良い仕事をもたらしますように。

Wool Felt Studio Pad

100%ピュア・メリノウールが主役です。温かみとクッション性にも優れる天然素材が、タイピングやスクロールをやさしく受け止めます。アルミシャーシと組み合わせて安定性も確保。手仕上げの連続ウッドトレイは小物収納に最適。ウールは杢調(多色混合)とし、初日も1,000日目も見た目がほとんど変わらない魔法をかけています。

Matte Studio Pad

Matte Studio Padはよりミニマルでクリーンな印象です。天然リノリウムは指紋がつきにくく、手書きの下敷きにも向きます。ひんやりとやわらかな触感も特徴です。アルミシャーシにラミネートして安定性を確保し、ハードウッドトレイと組み合わせて小物を受け止めます。

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